2018年7月3日。
とうとう
この日が来てしまった。
今朝目が覚めて
携帯を見ると
ラインのアイコンには
未読が42件、
とっても嫌な予感がした。
昨夜は残業があって、
19時頃に実家に寄った。
彼は変わらずそこにいて
胸は上下に動いていた。
少し息が荒い。
一昨日くらいから
殆ど食べられなくなり
お水も受け付けない。
それでも喉が渇いただろうと
注射器でお水を舌に
のせてあげると
少し飲み下してくれた。
ごつごつと骨張った体は
抱え直そうとすると
折れてしまいそうで、
反対向きに
してあげるのにも
時間がかかった。
彼は温かくて、
撫でてあげると
時々掠れた鳴き声で
オゥ、とないた。
一昨日来た時に
ある程度の覚悟は
したつもりだった。
彼を失うということ。
彼が熱をなくすこと。
彼のにおいを
かげなくなること。
彼とこたつで眠ることも
彼とボールで遊ぶことも
パンをあげることさえも
もうできないということ。
考えただけで
そんなの辛すぎる。
でもこんな苦しそうな
彼にさらに頑張らせるのは
あまりにも酷で…。
遅番の母の帰りを待つ
彼を撫でながら
偉いね、頑張ったね
大好きだよ
痛いのなくなれ
って繰り返し
つぶやくことしか
わたしにはできなかった。
ふと彼の目が開いて、
こんな機会ももうあまり
ないんだなと思って、
久しぶりに
2人で写真を撮った。
前はよく撮ったけれど、
最近はみんなでとか、
彼だけでとか、
息子と、とかばかりで
何年ぶりかの
写真だった。
暫くして弟が帰ってきた。
弟に抱っこを変わり
わたしは弟と彼の写真を
何枚か撮った。
小さく小さくなった彼は
弟に抱かれると
目を閉じていた。
その後二人がかりで
もしかしたらと
お外に彼を連れ出したけれど、
家の中の方が
心地よさそうだったので
すぐに戻った。
それから水をあげて、
また撫でて。
なんとなくわたしも弟も
その時が近いのがわかってた。
精一杯の愛と、
明日も会いに来るね
と伝えてわたしは帰った。
とても優しい夜だった。
彼は、
待ちわびた母との
最後の散歩のあと
静かに息を引き取った。
ジョン、
大丈夫だよ。
怖くないよ。
お空にはジョンの
大好きな父がいるから。
母はまだそちらには
行かせられないけど、
今度は父とそっちで
見守っていてね。
ジョンがどれだけ
頑張ってくれたか、
言葉では言い表せない程
感謝してるよ。
ありがとう。
大好きだよ。
わたしたちの
家族になってくれて、
本当にありがとう。
今朝、
お別れに行った。
ガンガンに冷えた
部屋の中で
電気もつけずに
母と弟が泣いていた。
私は自宅でしこたま
泣いてきたので
もう大丈夫と
思ったけれど、
冷たくなった体を
撫でていたら
やっぱり涙が出てきた。
昨日までは
上下していた胸も
今はもう動かない。
開かなくて困ったねと
目薬をさした瞳は
薄く開けたまま
光がなくなってしまった。
やっと開けられたからか
今度は閉じなくなって
しまったんだね、と
3人で泣き笑いした。
またいつかみんなで
川沿いの桜を見ながら
八幡さままで
お散歩に行きたいね。
いつか。
最後の夜に、ジョンと。