月を望む人。
どうやっても
心から消えない人。
とってもとっても弱い人。
先日から
夜な夜な彼が夢に出て、
なんだかとっても幸せで
いつかの続きを
見ているかのよう。
起きる度に
連絡先を開いては、
息子の寝顔を見つめて
画面を閉じる。
今となっては昔の話。
二度と戻らない、昔の話。
彼の心には、
もうすこしも
いないだろうに。
わたしのなかでは
まだあの日々が
嫌という程鮮明で、
とっても眩しくて、
苦しいくらいに
覚えている。
彼は、
とうとう幸せになる
決意をしたらしい。
もう、
この場所を離れる、らしい。
2年会っていないなら
同じことだろうに、
胸が苦しいのは
なんでなのだろう。
その間お互い違う人と
歩いているのに、
歩き出しているのに、
彼はこちらを
振り返りもしないのに。
どうしてこんなに。
あの金色の日々が、
捨てられない慕情は、
いつか消える時が
くるのだろうか。
連絡先を開いて、
何も打ち込めないまま
また画面を閉じる。
もう一度会いたい、
でも会いたくない。
その繰り返し。
でも、
これだけは伝えたい。
わたしは
わたしが恋したあなたが
幸せになることを
ずっとずっと祈ってる。
わたしとではなくても。
毎日を楽しく面白く、
ちょっぴりのお酒と
美味しい料理と、
たくさんの笑顔で
すごしてくれること。
あなたに恋したあの日から
ずっとずっと祈ってる。
幻のように消えた
あの一か月、
そして圧力鍋。
いつまでも、
色鮮やかに。